その後日本へ

その後日本へ

2007年11月、テスターの募集が始まる

そうして着実にその地位を公の元へと広げることになって行く夢世界が、日本に初めてプレイヤーを招いての限定公開がされたのは2007年11月12日のことだった。まだ日本に導入される前だったため、最初に限定1,000人でテスターを募集することで、不具合などのバグがどのように発生するのかを検討するところから始める。これはどのオンラインゲームでも初期にテスターのプレイ結果によって、どのように改善すれば運営を少しでも円滑に進めることが出来るのか、そういったことも調べるところに意義がある。

集められた1,000人のテスターは翌12月14日から十日間の間、第1次クローズトβテストが実施されることになる。パーフェクトワールドを既にプレイしている、したことがある人にとってすれば、前述のページで話したように、結婚システムに斬新さを覚えるところだろう、結婚することで相手にキスすることが出来るとなれば、リアルな面にもある種のリビドーがほとばしるような光景が想像できるが、現実で相手が女性であるかどうかという保障もないため、妄想で済ませておくほうがいいかもしれない。

十日間という短いテスト期間を終了し、翌年には正式にサービスがスタートすると思われていた同作品だが、やはり運営して実際にプレイしてもらうと出てくるというべきなのか、様々な諸問題が噴出することになったという。細かい問題はさておき、本来なら年明けした1月18日にはオープンβテストが行われるはずだった、運営側から延期することが伝えられたが、延期先となった28日には公開時期未定とする知らせが張り出された。運営側によると、最終検証作業中にクライアントに重大な不具合が発生してしまい、それを解消するまではオープンβテストを開催することは出来ないとの旨が明かされる。一体いつになったら公開されるのかと待っていた人もいただろう、まだかまだかとじっと耐えているとき、2月22日にテスト開始をすることを発表することが公表された。無事に問題を解決することが出来たため、滞りなく夢世界は日本上陸に成功し、βテスト翌日の2月29日に正式にサービスが始まる。

日本独自の変更点

海外で製作されたオンラインゲームという物は通常そのまま公開される、ということはほとんどない。純然たるオリジナルな作品を堪能したいという人もいるかもしれないが、中々そうした個性を日本に持ち込むのは少しばかり難しい。今回の例で言うならば中国で製作されたオンラインゲームとなっているため、中身は基本中国の一般大衆向けに作られた内容と服装が採用されている。それが日本人の好みなどに適しているかと考えれば、一目瞭然たる結果が見えてくるはずだ。世界観やシステムをいじるというのではなく、ただキャラクターに関するちょっとした設定を変更することにより、日本人に好まれやすいものへとシフトさせなければいけないと、そういったほうがいいだろう。

具体的にどのような部分を日本人好みに変更したのかというと、

  • ・キャラクター作成時からの初期衣装を日本オリジナルに変更
  • ・ゲーム内のBGMも日本版オリジナルへと変更

この二点が主に中国で公開されているオリジナルとは違うクオリティへと変化させている。衣装をどうして変更しなければならないのだろうかと思うが、残念なことにこうした細かいところがゲームに関係のない、民族や宗教といった問題が絡んできてしまい、それが元で匿名という笠を利用した誹謗中傷を受けかねないという問題が出てきてしまうことにある。面倒なことだが、こういう問題で運営の方にまで影響を及ぼすようなことになってしまったら、正直笑えないからだ。企業としてもコンプライアンスなどを加味するため、些細な部分のように見られるが、ナーバスになっている人にも配慮しなければならないという。

苦々しいところではあるが、何とか堪えてもらいたい部分でもあるが、その頃から徐々に中国との関係に不協和音が流れ始めている国勢だったということも、少なからず関係しているかもしれない。文化に政治を持ち出すのは間違っているはずだが、ネットを楽しんでいる人にとってはそうした部分の方が瑣末で、日本の文化を蔑ろにしていると思われる運営を行っているほうが問題であると、そうとられてしまうのだろう。

様々な施策が導入される

こうして日本でもサービスがスタートした夢世界だが、リリースされてからオリジナルと変わりなく、毎月毎のアップデートを繰り返して、ユーザーが楽しめるようなクエストなどが導入されていった。そうした中で、実際に存在している復職の専門学校とコラボすることで、オリジナル衣装の製作が実装されるなどの取り組みも行われ、大いに盛り上がりを見せる。

ただこうした衣装の実装に関してはオンライン業界として衝撃的過ぎる展開だったという声が上がっている、それはどうしてかというとそもそもこのオンラインゲームが中国で作られたものというところに焦点を当てると見えてくる。日本主導のデザインコンテストとして開催されたことで、中国から反発が上がるのではないかと思いきや、初めて行われるコンテンツ制作であるにも関わらず、コンテスト開始から実装までの期間、わずか3ヶ月程度で衣装が採用されることになったというのだから、それはそれで凄いことだ。

出来上がった衣装に関しても中国ユーザーからは非常に好評を博したといわれ、さらに日本独自に製作されていたネズミのキャラクターに関しても、中国から三面図を早く送ってくれと催促されているという。何から何まで驚きだが、これは単純に中国の人々全てが日本という国に対して嫌悪感をむき出しにしているわけではないことの表れと言える。以前何かのテレビ番組で中国人が日本へ観光に行きたい1位にランクインしているなどと人気があり、政治の面でいがみ合いを見せる両者だが、民族として、文化としての側面ではそうした対立姿勢を示そうという人達ばかりでは無いようだ。

その後も順当に運営が進められると思われていたが、残念なことに夢世界は2014年3月にゲームとしてのサービス終了が宣言されてしまう。こうして考えると決して日本でもヒットしていなかったわけではなかったのかもしれないが、終了までの間にヒット作となるオンラインゲームが数多く登場した中での生き残りは熾烈を極めていたのかもしれない。であれば今年まで何とか運営を継続できていたことは上出来だと言える。惜しまれながら終了してしまった夢世界だが、悲しみながら次のゲームへと乗り換える人もいるはずなので、そこまで悲しむべきところは無いといえる。